農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業 先端農業連携創造機構

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連携プロジェクト詳細

26年度採択

ISSA山形(Imaging System for Smart Agriculture from Yamagata)

無人ヘリコプタ―に特殊カメラを搭載・空撮できる機構と、得られた情報から圃場内の水稲生育バラつきを把握し、可変施肥判断ができるシステムを開発中です。

農業界代表:(有)鶴岡グリーンファーム
経済界代表:コニカミノルタ(株)

コンソーシアム形成の経緯

我が国の稲作においては、圃場内、圃場間の生育バラツキを把握して、品質向上、収量UPを達成するために、短時間で多地点の生育状況を定量的に観測できる測定器や測定方法が求められていますが、現状の接触型での生育状況の評価方法では、水田に入って1株ずつ測定を行うこととなり、重労働を伴います。
このような農業界の課題がある中、コニカミノルタでは、車のセンシング用のカメラとして開発していた、近赤外光を取り込みながらフルカラーが実現するカメラ(IRカラーカメラと呼んでいた)を、特殊用途のセンシングに応用できないかということで、多地点の植物の生育状況を短時間で評価する方法のひとつであるNDVI(植生評価)への応用が検討されていました。
また、コニカミノルタとカメラ生産委託で付き合いのある伊藤電子工業(山形県寒河江市)が、カメラを用いたNDVIや葉緑素値の測定方法の研究を行っている山形大学農学部の藤井教授からデジタルカメラの改造によるNDVI化の支援を委託されたことがあり、それが縁で藤井教授との親交を深めていました。

NDVIという共通の研究課題に対する相互の技術の連携が発展し、伊藤電子工業を介してコニカミノルタと山形大学はIRカラーカメラを用いてNDVIの予備調査を行う方針で進めていたところ、農林水産省の「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」があることを知り、この事業に参加するためにパートナーになる農業法人を探すこととなりました。
今回のプロジェクトの目的の一つである圃場のばらつきの評価のためには、農薬散布ヘリコプターを所有し、かつ一定規模の農地も管理している農業法人等が適しているものの、そのような法人は多くないため難航しました。
しかし、ヤンマーヘリ&アグリからこのような取り組みに賛同してくれる鶴岡グリーンファームを紹介され、こうして、鶴岡グリーンファーム・コニカミノルタ・山形大学農学部・ヤンマーヘリ&アグリ・伊藤電子工業で本事業に向けたコンソーシアムを形成することとなりました。

プロジェクトにかける想い
日本の農業は、様々な意味で、大きな変曲点を迎えています。
当社の技術により、誰でも、高品質なお米が、高収量で生産できることにより、世界に誇れるビジネスになるように、農業が大きく変貌することを期待しています。その意味でも、この技術がより広い範囲で日本の農業界に貢献することを望んでいます。


技術

<撮影ノウハウ>
 ヘリコプターは離陸すると前傾姿勢で飛行し、Uターンせずに後進して撮影を行います。水平の姿勢では飛行しないため、カメラを固定にすると向きが変わってしまい、評価ができなくなってしまいます。そこで、ジンバルという装置を取り付けて、カメラ自体のブレ補正機能との組み合わせにより、ヘリコプターがどのような姿勢であっても一定の角度で撮影できるようにしています。


<点から面へ>
 一般に、葉緑素含有量は葉中窒素含有率と相関関係にあるといわれています。そして、葉中窒素含有率とタンパク質含有量は密接に関連し、タンパク質含有量が高い水稲は食味が劣ります。すなわち、葉緑素含有量が水稲の食味を左右すると考えられているのです。
 従来、この葉緑素量を植物の葉に直接接触して測る「SPAD」で計測していましたが、このプロジェクトでは、SPADによる測定をさらに発展させる形として、ヘリでの空撮によるNDVIカメラによる面での評価によって、葉緑素の値を測定することに取り組んでいます。
 ここで、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指数)とは、植生の分布状況や活性度を示す指標であり、土、水、植物等の分光反射特性を用い、対象地域の植生及び活性度を調査する手段です。NDVIの値とSPAD値との間に相関が取れれば、従来、SPADで一株一株行っていた葉緑素の測定をヘリによる空撮により行うことができ、大幅な労力の削減につながります。
 ただし、NDVIでは群葉での光の反射率を用いて植生の評価を行うため、正確に測定するためには入射光の推定を行う必要があります。

そのため、このプロジェクトにおいては、入射光を推定するアルゴリズムを開発することにも取り組んでいます。

[更新]

将来展望

葉色診断をベースに開発を進めていますが、様々なセンシング技術の応用により、「すべての栽培プロセス診断」を実現したいと考えています。また日本にとって重要なお米を対象に検討を進めていますが、これも「全ての農作物」に準じ、応用していく予定です。これにより、海外も含めて、大きなビジネスになることを期待しています。

事業二年度目

事業二年度目の状況

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本プロジェクトにおけるH26年度の実証実験では、マルチスペクトルカメラの設計・試作、圃場での評価撮影、データ収集・分析等を行った結果、NDVI値とSPAD値に高い相関があることが確認され、空撮によって得られたNDVI値のデータに補正演算を行うことで、高い精度でSPAD値を推定することが可能となりました。
さらにH27年度は、このSPAD値を基に水稲圃場全体の育成を評価した「圃場のばらつきマップ」を作成し、可変施肥を実施しています。可変施肥による「品質維持しつつ収量を最大化」していく効果確認は詳細にデータを分析中です。


一般の稲作農家は、生育状況のばらつきを地上からの目線で認識し、長年の経験と勘を基に追肥を行います。時には判断を誤り、安定した収量、品質を保持できないのが現状です。本プロジェクトによる「ばらつきマップ」による生育状況の見える化は、農業者にとっても大きな躍進となりました。農業者は上空からの新たな視点を獲得し、広範囲な圃場評価と科学的根拠に基づく追肥が可能になったと言えます。
また、本プロジェクトの新たな取り組みとして、窒素吸収量を基にした可変施肥指標の作成を進めています。この取り組みは、カメラで稲の茎数と草丈を測定し、稲の窒素吸収量を推定することで、土壌中の窒素量(地力)のばらつきマップを作成するというものです。窒素吸収量は「稲の籾数」との相関が強く、引いてはコメの「タンパク質含有量」や「収量」に影響を与えることが知られています。土壌中の窒素量のばらつきマップを基に次年度の可変施肥を行うことで、収量や食味を最適化させられるのではないかと考えています。
今後は、普及に向けて他の地域や他の品種に対しても効果が表れることを証明していく必要があります。そのため、H28年度以降はコンソーシアム外の圃場で試験を行うなど、実証実験の幅を広げ、効果を測定していくと同時に、専門の研究機関(大学や研究センター等)の協力による実験も視野に入れています。

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